カターニア通りの市場の中にある馴染みのチーズ屋に1週間ぶりに顔を出すと、「賞味期限が迫っているヤギのチーズを買わないか?4.9ユーロのところを4ユーロにしとくよ!」と商売上手のロベルトが早速声をかけてきた。
ロベルトのチーズ屋は質の良いものが揃っている。
見ると、形は少々崩れているけれど、ピエモンテ産の白カビで発酵させ、バローロの葉っぱやジュニパーの灰をまぶしたものが90セント安くなるのは、見逃せない。
とは言え、10センチのチーズに4ユーロ、どうしようと躊躇していると、「リゾットにしても美味しいよ。ほら、買いなよ、90セントも節約できるんだから」と畳みかけてくる。
ロベルトは、商売柄、美味しいものを知り尽くしているけれど、売り込みも抜かりなく強気で、時々、こちらが後ずさりしてしまう。
でも、まぁ美味しいそうだしと、灰でくるまれたチーズを買ってみた。

シガロと名のつくこの手のチーズはフランス産に多い。ピエモンテのチーズは、どちらかと言うと、フランス産のものに近いものが多いので、これも又然り。
ヤギのチーズは癖があるものの、酸味もあって、干しイチジクなどの甘味ととっても相性が良い。丁度、干し葡萄と干しイチジクが沢山入ったパンがあったので、一緒に食べたら案の定美味しい。
ロベルトに言われた通り、赤いラディッキオレタスを入れたリゾットにした。
チーズは火を消す数分前に投入する。

仕上げにクルミをパラパラとふりかけると、クルミの油がチーズの酸味やラディッキオレタスの苦味を丸くしてくれる。
出来上がりは、青味がかったグレーで、酸味が勝つかと思いきや、お米の甘味と合わさって、デリケートな旨味。
たまには、口車に乗るのも良いもんだ。
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