木曜日になるとローマのチーズやハム諸々を扱う食料品店の前に水槽や水桶が置かれているのを見かける。
カトリックでは金曜日は節制の日で肉食を避けることから、魚を食べる慣わしがあり、ローマでは塩漬け鱈が伝統的に食されてきた。
今でも、その習慣は残っていて、金曜日を前に塩抜きして水に浸かった鱈が売られているのだ。
いつも塩鱈を買うロベルトの店では、暑い季節は塩鱈が傷むのが早いので、6月から9月までは扱わない。
今朝、市場に行き、この秋初めての塩鱈だよ、というセリフに誘われて、久しぶりに塩気のある白身の肉が食べたくなって小ぶりの30センチ位の半身を購入した。
鱈の身が白いほど質が良いものらしいが、もちろんロベルトが仕入れる塩鱈は真っ白でふっくらとして、全くと言っていいほど臭みがない。
衣をつけてフリットに天ぷらにするか、トマトとケイパー、オリーブと煮込むか、パスタの具にするか。
料理の仕方も地方や家庭によって違うから五万とある。
今日は、どうやって食べようか、美しい白身を前にかくも悩ましい。