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失われた味を求めて〜焦がしデュラム小麦
2018年 02月 15日
昔、多くの人がそうだったように、プーリアの農民も貧しかった。小作農または季節労働で働く小麦畑の刈り入れが終わると、収穫物はもちろん領主へと渡る。その後、土を肥沃に保つために畑が焼かれ、後に残った焦げた小麦の実は、農民に消費が許されたものだった。焦げた小麦を、かき集め、石臼で挽き、かさ増しに他の小麦粉と混ぜ合わせられていたのが、焦がしデュラム小麦の起源だ。長く失われた味となっていたものらしいが、近年のグルメブームに乗って、再発見され有名レストランのシェフ達が使うようになっている。量産されていないので、バーリでも簡単に見つからないだろうと思っていたら、訪れたレストランで、メニューに載っていないけれど頼めば、普通のパスタに替えて料理を出してくれた。何処で売っているのか尋ねたら、店で売っているというので、1キログラム入り一袋を買い、ローマに持ち帰ってきた。
スモークの香りがする焦がしデュラム小麦粉は、バーリでは、オレッキエッティ(小さな耳という意味)でいただいた。焙煎しているが故に、グルテンがつかさどる粘り気がないので、通常の小麦粉と、30%を超えない割合で混ぜてください、と店のオーナーの孫とおぼしき若い女の子に念を押された。粉と水だけが材料なので、生地を作るのはものの10分で済む。オレッキエッティを作るのは初めてだったけれど、イタリア料理らしく、見よう見まねでなんとかそれらしいものが出来上がった。トマトと合わせたかったけれど、季節でないので、ドライトマトと冷蔵庫に残っていたグアンチャーレ、南瓜でソースを用意した。茹であがったパスタの少しザラついた舌触りと鼻腔にのぼってくるスモーク臭が癖になる。スモーク臭を感じるには、グアンチャーレが無い方が良いかもしれない。また一つ新しい(けれどとても歴史の古い)味をみつけた。